(5)タンダとコルティナ
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ここからは、ミロンガでどう音楽を聴き、どう踊ればいいかを解説していきます。
ミロンガ会場には、基本的にずっとタンゴ音楽が流れています。
ただし無作為に曲がかけられているわけではなく、そこには一定の規則性があります。
この規則性を知り、いつどうやって踊りだせばいいのか、踊り終えればいいのかを理解しましょう。
まず、音楽の流れ方をざっくり表すと、下記のようになります。
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タンゴ①
タンゴ②
タンゴ③
タンゴ④
↓
コルティナ
↓
タンゴ⑤
タンゴ⑥
タンゴ⑦
タンゴ⑧
↓
コルティナ
↓
つづく
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タンゴ①~④は、タンゴが4曲かかるという意味です。
このタンゴ①~④のかたまりのことを「タンダ」といいます(ここでは4曲で表しましたが、3曲になる場合もあります)。
1つのタンダは、一つのオルケスタ(楽団)の、同じような時代の曲で構成されます。
ミロンガ参加者が踊るのはこのタンダの間。基本的には、1つのタンダの間は同じ相手と踊ります。つまり同じ相手と3~4曲連続で踊るわけですね。
次にある「コルティナ」は、スペイン語でカーテンという意味です。
ロックやサルサなど、タンゴとは異なるジャンルの音楽が短時間かけられます。これをきっかけに、踊っていた人たちはタンダの終了を察知し、踊りを終えます。
つまりタンダとタンダの間に別の曲をかけることで、区切りを設けているのです。
コルティナは短時間で終わり、すぐに次のタンゴの曲が流れ始めます。
上の流れのタンゴ⑤~⑧は、一つ目のタンダとは異なるオルケスタの曲で構成されます。
なお、各タンダでどんなオルケスタのどんな曲を扱うかは、そのミロンガを担当するDJが決めています。
タンゴは、楽曲と楽団の組み合わせにより軽く数千曲ありますから、どの曲をどう組み合わせて会場の雰囲気をつくるかはDJの腕の見せ所です。
音楽の流れがわかったところで、どう踊り始め、どう踊り終えればいいのかについても触れておきましょう。
流れとしては以下のようになります。
- コルティナが終わる。
- 新しいタンダが始まる(タンゴ音楽が流れ始める)。
- 男性は踊りたい女性にカベセオをする(視線を送る)。
- 女性は、相手と踊りたいと思えば目を合わせる。踊りたいと思わなければ自然な形で視線を外しておく。
- 目が合ったら、二人ともフロアに入って近づき、男性がアブラソ(抱擁、組むこと)をエスコートする。
- 2人のコネクションを作り、音楽を聴いて踊り始める。
- ひとつのタンダが終わり、コルティナが始まる。
- 男性が女性を元の席までエスコートしてから解散。→1に戻る
この中での注意点をいくつか伝えておきます。
- タンダのうちの各曲が終わるごとに、一旦アブラッソを解きましょう。男性が女性を抱きしめたままでいたり、手を取ったままでいる光景を時々見ますが、これはマナーとしてはよくありません。曲の合間には一度お互いに楽な姿勢になって、何か軽く雑談をしてください。次のタンゴが流れ始め、いい頃合いになったらまた改めてアブラッソをします。
- コルティナがかかったら、いつまでもフロアにいるのはNGです。全員一旦フロアから出て、フロアを空にする必要があります。ただし、コルティナがかかりはじめたからといって、即座に解散して自分の席まで直行するようなことはないよう気をつけてください。
- 曲が終わったら互いに「ありがとうございました」と伝え合い、男性は女性を元の席にエスコートします。
- 日常生活では、なかなかエスコートする・されることがありませんからちょっと気恥ずかしいかもしれませんが、その非日常もまたタンゴの楽しみの1つです。
- 男性が女性を誘うのは、あくまでタンゴが流れ始めてから。コルティナの最中にカベセオをしてはいけません。
- 音楽が流れてきたから踊りたくなる、踊りたくなるから相手を誘う……その順番を大切にしてほしいと思います。
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